2008年08月14日

ダンス・ダンス・ダンスを読んだ後に文章を書くとこうなる

「ちょっとお待ちくださいね」
男は右肩に手を置き首を傾けて軽いストレッチをしてから、ディスプレイに目を向けた。
黒い画面だった。
背景も、なんとかバー(下に出てるヤツだ)も黒。
キーボードから命令を打ち込んで、出てきたウィンドウも黒だった。
後ろでじっとその画面を見ていると、ドストエフスキーの地下室の手記を思い出した。あれはどんな話だったか。内容はさっぱり覚えていない。ただずっと黒い背景の中にいるような話だったことだけ覚えている。

「んー、違うな」
男は何度かキーボードをたたいてから、細く甲高い声で言った。
僕はこれまで、細い声と甲高い声は対照的な存在だと思っていたのだが、彼の声にはその2つの要素が見事に同時に含まれていた。
奇妙な、人を混乱させる声だった。
野菜ジュースとコーラを混ぜたような違和感があった。

「Googleに聴いてみますね」
彼はキーボードを叩いてブラウザを立ち上げると(ブラウザはマウスで立ち上げるものではないらしい)、よく分からないアルファベットの羅列を検索窓に打ち込み、目的の情報を探し始めた。

やれやれ、と僕は思った。
またGoogleだ。
昨日の妻の晩御飯の献立も、さっきの乗り換え案内も、このフラッシュメモリの情報も、全てGoogle。
「ついでに、ボーイ・ジョージが次に逮捕されるのはいつかも調べてもらえますか?」
僕がそう言うと、彼は「ふん」と言って首を捻った。
どうやら僕の冗談は面白くなかったようだ。
posted by MW at 17:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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