2008年04月08日

プログラマ描写実験(村上春樹風)

実装は予想に反して昼過ぎには終わってしまった。僕は別の仕事に手を出す気も起きなかったので、ただぼうっとディスプレイを見つめていた。

暇になってみると、隣の女の子が、カタカタと一定のリズムでキーボードを鳴らしているのが耳についた。

真面目で整ったソースを書き、時々エッシャーの絵の中に入り込んだような顔をして悩む姿が似合う子だった。

横目に彼女が実装をする姿を見ているうちに、僕はなぜか高校の頃に付き合っていた子のことを思い出した。

工人舎を思わせるような慎ましい笑顔が印象的な子で、将来はストールマンのようになると言っていた。先月の同窓会で聞いた話では、彼女は大学の時に米軍の兵士と結婚して子供2人を生み、今はアメリカで慈善事業の活動をしているらしい。

僕はてっきり、彼女もプログラマになっていると思っていたから、米軍兵士と結婚したと言われて混乱したのを覚えている。

今、僕の隣で、翼を落とした小鳥が羽ばたくみたいな音でキーボードを撫でる姿の方が彼女らしく、慈善事業をするのは彼女らしくないと僕は感じているようだった。

でも、そんなのは僕の勝手な思い込みであって、事実として彼女はアメリカでプログラマ以外の活動をしているのだ。
posted by MW at 23:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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